看護職へのニーズは生活の多様化や医療システムの変革に伴い大きく変化しています。看護学科では様々な人生の段階や環境で暮らす人々に寄り添い、変化する健康課題に対応する新たな看護を担える人材を育成します。そのため、早い段階から少人数による問題解決型学習を取り入れ、「主体的に考え行動できる力」や「チームで協働する力」の育成に取り組んでいます。
学内ではICTやシミュレーター機器を活用して授業時間以外にも自己学習ができる環境を整え、確かな知識と技術の定着を支援しています。
また、臨地実習では1年次の基礎看護学実習Ⅰから4年次の総合実習まで段階的に実践力を伸ばすよう計画され、県内の多様な保健医療機関と連携した教育が行われています。さらにポートフォリオを用いて学習を定期的に振り返り、次の課題を明確にして取り組めるようにしています。
看護学科では、4つの履修モデルを用意し、看護師国家試験受験資格と合わせて、保健師、助産師の国家試験受験資格、養護教諭一種免許状を取得できます。大学院博士前期課程や後期課程も整備され、卒業後の看護職としてのキャリアアップに向けて本学で継続して学ぶこともできます。
看護とは、個人だけでなく、家族、集団、地域を対象に、その人が健康な生活をできるだけ自立して送ることができるように、人生に寄り添いながら支援することです。そのため、看護職を目指して学ぶ上では、看護に関する科学的・専門的な知識や技術を習得し、観察力・判断力・課題解決力などの看護に必要な能力を身につけることはもちろん、責任感や誠実さをもって人に関わることができる人間力を高めていくことが重要です。 そこで、本学看護学科では、人として成長しながら看護の実践力を身につけることができるよう、自発的な問いを持って探究し、経験したことや考えたことについて他者と話し合う機会を多く設けています。
さまざまな臨床場面に対応できる看護実践能力の修得を目指して、対象別、あるいは疾病や症状別など、多様なアプローチから統合的に学習できるように科目を構成しています。実践的能力を養うため、座学だけでなく演習や学外実習を組み合わせて、対象の健康課題を発見し問題解決に導く力や、安楽と安全を配慮しながら計画・実施する技術的な力を身に付けます。授業は、写真のようにICTやシミュレーション機材を使用した教育、グループワークや模擬患者を利用した教育など、アクティブラーニングを積極的に取り入れています。また、専門看護師や認定看護師などの活動を紹介し、将来のキャリアアップを考える機会を設けています。
医療機関、訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所、高齢者福祉施設や障がい者(児)福祉施設、特別支援学校など幅広い分野で、看護師国家資格を有した専門職として活躍するために、さまざまな健康課題に対する問題解決方法や支援方法を学びます。
主に3、4年次からは、「臨床実践看護」をはじめ、「がん看護」「リハビリテーション看護」「認知症看護」「感染管理」「遺伝と看護」「メンタルヘルス論」「子どもと家族のヘルスプロモーション」など、各自の関心や興味に応じて科目を選択して学ぶことができます。例えば、がん患者の看護に対して興味があるならば、「臨床実践看護」で臨床場面に必要な知識や技術を習得するとともに、「がん看護」や「リハビリテーション看護」「メンタルヘルス論」で、がん患者の看護に関連する専門知識を深める学習ができます。
公衆衛生看護系は、保健師国家試験受験資格を取得する履修モデルであり、保健師助産師看護師学校養成所指定規則に定められている単位を修得します。カリキュラムは、1年次では地域看護学、カウンセリング、2年次では社会保障概論、衛生学・公衆衛生学、疫学、保健医療統計等を学びます。3年次に履修者選考試験を行い、合格者を対象に公衆衛生看護学に関する専門科目を学びます。4年次は、6週間の公衆衛生看護学実習を行います。
写真は、地区診断を行い実習の準備をしている風景です。保健所・市町村における実習においては様々な保健事業に参加して実践的な学びを経験することができます。
公衆衛生看護系では、保健師の活動する行政・産業等の場において、対象となる人々との支援関係を構築するとともに、地域の健康課題に応じた地域づくりや、健康危機管理のための基礎的能力の修得を目指しています。
看護学科の卒業に必要となる128単位に加えて、保健師に関する、公衆衛生看護展開論、公衆衛生看護技術、保健医療福祉行政論、地区診断論、公衆衛生看護管理論、公衆衛生看護学実習などの科目を修得することにより保健師の国家試験受験資格を得ることができます。
公衆衛生看護学実習では、県内の保健所、市町村保健センター、県内外の企業、学校といった保健師が活躍する多彩な施設を実習場所としており、自分にあった卒業後の進路選びにも役立っています。
助産系は、「リプロダクティブヘルスと看護」と「ハイリスク周産期」以外は、履修者を限定した少人数で講義・演習・実習が行われています。3年次後期から4年次前期は主に講義・演習を受講し、4年次前期の後半から後期の前半にかけて実習を行っています。実際に病産院で直接的な分娩介助を10例実践する実習を含んでいます。そのため、実習に向けて、模擬産婦によるシミュレーション演習など、より実践的な演習を取り入れています。また、演習においては、自己評価(リフレクション)も重視しています。
写真は「分娩期のケア」の演習で、出生直後の新生児の観察やケア・蘇生法についての技術を模型を使って学習している場面です。
助産系は、助産師国家試験受験資格取得を目指す履修モデルです。助産師として、周産期にある人々とその家族、各ライフサイクルの女性の健康を支援するために、母子保健分野、助産、リプロダクティブヘルスに必要な基礎的能力を養成します。そのため、看護学科の卒業に必要となる128単位に加えて、14単位の履修が必要となります。
具体的には、女性特有の健康課題について学ぶ「リプロダクティブヘルスと看護」、妊娠期・産褥期・新生児期のケアを学ぶ「周産期のケア」「ハイリスク周産期」、分娩介助を含む分娩期のケアを学ぶ「分娩期のケア」、病院や地域における助産管理のシステムなどを学ぶ「助産業務管理」など幅広い助産活動の実践について学んでいます。実習については、埼玉県内の10か所以上の施設とそのスタッフの協力を得て行っています。
学校看護系は、教員免許状の取得に必要な単位を修得し、養護教諭一種免許状を取得する履修モデルです。カリキュラムは、1年次では教職に関する講義科目を中心に履修し、2年次以降は養護教諭に関する専門科目を履修します。「学校ボランティア演習」の科目は、小・中学校等へ出向いて、教員を志す学生として体験学習を通して学びを深めます。養護実習は3年次に1週間、4年次に3週間行います。実習先は越谷市・春日部市等の実習協力校で行います。
写真は、4年生が養護実習を終えて報告会を行っている様子です。養護実習で実践した保健学習の授業を報告しています。この報告会には3年生も参加します。
学校看護系は、看護師資格を持った養護教諭を養成します。履修定員は10人程度となっており、少数精鋭で質の高い養護教諭の養成を理念としています。養護教諭一種免許状を取得するためには、看護学科の卒業単位128単位に加えて、教員免許状取得に必要とされている25単位を合わせて、最低153単位を修得します。
今日の子どもたちの健康課題は、多岐にわたり複雑で深刻化しています。看護学を学修した強みをいかして、健康や疾病の知識と理解を深めて、子どもの健康課題を多角的、総合的にアセスメントして支援できる養護教諭の養成に重点を置いています。「養護概説」、「学校保健」では、学校保健を組織的に推進するためのコーディネーターとしての力量を養います。学校の教職員、地域の関係者や関係機関と連携協働し、子どもたちの健康で安全な生活を支援できる専門職としての養護教諭を位置づけています。